左官・久住有生さんの講演会に行ってきました。
技術的な部分よりも、
心構えとして勉強になった大変刺激的な会でした。
鏝を持ったのは、3歳。
毎食、半畳よりも大きい判を仕上げては剥がししないと、
ご飯も食べさせてもらえなかったという、
星飛雄馬×星一徹ばりのトンデモ家系。
「絶対に左官にだけはなるまい」と誓い、
ケーキ屋さんになろうと思っていたのに、
まんまとオヤジさんに騙されて、(久住さん談)
左官の道へ。。。
今では、国連や世界遺産の仕事まで依頼される、左官の第一人者です。
依頼されたものの参加できず、今も後悔しているというのが、
マリ共和国のジェンネのモスク。
「100年後には見られない可能性が一番高い」と言われる世界遺産です。
左官は、どの国のどの土地の土でも作ることができる。
京都の文化財、輪違屋 の「もみじの間」の復元も、
当時の壁を剥がし、もう一度練り直して使っただけ。
一度使った土が、そのまま次に使える。
「左官こそ、実は、もっともエコな仕上げかもしれません。」
人が動くと、蝋燭の炎が揺れ、
もみじが舞うように見えるというのが、当時の仕掛け。
昔の人は、よく感じ取っていた。
左官壁の持つ、質感や魅力を。
簡単に材料が手に入り、
誰がやってもそれなりの質感が出来上がり、
しかも、エコで、どんな曲面も、光沢も、凹凸も自由自在。
割れないように作るなんて、造作もないこと。
「良いものを作ればわかってくれる。」
それは確かにその通りだったかもしれない。
だけど、その良さをわかってくれる人を
増やす活動をしてきたのか?
「”引き” の美学をモットーにしてきた日本の職人たちは、
良さを伝えることを、みんなサボっていたんです。
我々、左官を含め。」
和の建築が減り、左官を目にすることがなくなってきた今だからこそ。
左官を見てもらう機会が必要。
そうしないと、日本から左官の文化そのものがなくなる。
久住さんは、そんな ”危機感” から活動をしている。
「ときには、白Yシャツにジーンズで左官実演をして、
客寄せパンダみたいなことしてます。
汚れません!カッコいいでしょ、ってアピールなんです。」
”建築士” も同じじゃないですか?
というのが、この会の久住さんの結びです。
まったくその通りだと思います。
建築士だって、住まいの奥深さを広める活動をしないといけない。
テレビや雑誌に頻繁に出る人なので、
もっとアーティスティックな人だと思っていましたが、
気のいい淡路のお兄さんでした。
しびれるお話でした。
(Susa)
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