2017年6月15日木曜日
遺す、引き継ぐ
福島県いわき市で5年間に渡って行ってきたお仕事が
ついに今週お引渡しとなりました。
お施主さんは先祖代々海に関わるお仕事を生業にされているご家族。
「先祖代々」ということも「海に関わる」というお仕事の内容も
私の日常にはない感覚で、
別世界のお話はいつもたいへん新鮮でした。
築百年以上の母屋の建替えでしたので
たくさんの建具や木材を形を変えて遺すことにしました。
その一部をご紹介します。
まずは、欅の建具と引出しです。
壁一面にあったものを一部だけ別の形で組み替えました。
玄関のコーナーサッシの内側には、
美しい組子の建具を設えました。
その反対側には欄間とセットの引違い戸。
この向こう側が居間食堂となります。
そして、
今回最も大切に引き継がれたもののひとつが、神棚です。
畳の大きさから、神棚の大きさがわかることと思います。
この神棚を祀る為に
和室の天井高さが3.6メートルも必要でした。
この物理的な大きさは
そのまま生活や心の中を占める大きさなのだと思います。
廻りに使われている建具はもちろん、
神棚や床の間の地板もこれまで使ってきたものを
挽き直して引き続き使っています。
地域や家族、職業等に関する風習やしきたりが、
つながっていくことは本当に大切なことのような気がします。
設計から竣工までの5年間という時間は決して短くはなく、
お打合せを進めていく傍らで
ご家族構成にもいろいろな変化がありました。
お引き渡しの日に
広い居間でハイハイをしていたお子さんも
数年後には建具にまつわる思い出話を聞きながら
神棚に手を合わせる日々が日常になるのだと思います。
(Misako)
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